ジャーナル

積み重ねた努力を次世代へつなぎ 未来の俳優・業界に夢を託す

作成者: CAST+|Sep 10, 2025 8:00:00 AM

 

デビュー作『仮面ライダーアギト』から25年。ドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍し、近年は育成やマネジメントにも力を注いでいる俳優・要潤氏。俳優としての歩みの裏にある試行錯誤、そして次世代の俳優たちへとつなげていきたい思いについて伺いました。

 

<プロフィール>

要 潤(かなめ・じゅん)

俳優。2001年『仮面ライダーアギト』でデビュー後、NHK朝ドラや大河ドラマ、映画、舞台などで幅広く活躍。2026年放送予定のNHK大河ドラマ第65作『豊臣兄弟』では明智光秀役に挑む。近年は俳優育成やマネジメントにも取り組み、次世代の才能を支える活動を行っている。

 

 

俳優として生き抜くために――不眠不休の努力と描き続けた未来予想図

 

――最近は俳優としてどのような活動をされていますか?

今後の俳優としての活動では、NTVドラマ『ちはやふるーめぐりー』(7月9日スタート)で主人公の父親・進役を演じます。そして2026年放送予定のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』では明智光秀役に挑みます。

 

――俳優として順調に見えるキャリアです。デビューからこれまでの試行錯誤した経験について教えてください。

デビュー前は「いつかその役が訪れた時に活かすことができたら」と思い、短期間でしたがアルバイトであらゆる職種を経験しました。当時は若かったということもあり、ほぼ不眠不休でいろいろな仕事に挑戦していましたね。その後、実際にデビューしてからはレストランで料理を作っていた経験が大変役に立ちました。
仕事のオファーをいただくようになってからは、まるでジェットコースターに乗ったような感覚で次から次へと仕事をこなす日々でした。当時はどうしたら芝居が上手くなるのか?ということだけを試行錯誤してた気がします。当然、いきなり芝居が出来た訳ではないので、プロとして現場でお芝居をするという環境に戸惑う毎日でした。幸いにもあの頃は、現場のスタッフさん達に厳しくしていただけた時代でしたので、芝居だけではなく人間性もしっかりと鍛えられました。
当時読んだ本に、今でいう野球選手の大谷さんの曼荼羅チャートじゃないですけど、そういうものを書くことで「自らのマインドマップが具体的になる」とあり、チラシの裏とかメモの端切などに必死に書いていた事があります。例えば、3年後の俳優としての姿を具体的に思い描き、「こういう番組に出て」「こういう役をやって」「こんな生活をして」と。台本を頂くようになってからも、役柄の分析と合わせてひたすら書き続けました。具体的に自分がどんな俳優になりたいかを理解していないと、そうはなれないと思っていたからです。
現場では、先輩の俳優さんからお話しを聞いたり、実際にお芝居をしたりして、吸収出来ることは何でも吸収しようと必死でした。当時は若手俳優が大勢いましたので競争率も激しく、一分一秒でも俳優として成長するためにと、生活のほとんどは仕事のために費やしていましたね。
また、3年後の自分への手紙は必ず3年経ったら読み返して、ズレがあるとまた修正する。クリアできたものは自分で褒めてあげて、できなかったものはできるための方法を模索するという日々を重ねてきました。 ーー 今も、それは続けています。

 

――転機となった出会いや、チャンスを掴むための工夫や努力について教えてください。

僕は仮面ライダーでデビューしたのですが、それは偶然オーディションに受かって手に入れた役です。そして、次の仕事は山田太一先生の「この冬の恋」というスペシャルドラマでした。その役は、ライダーの時に受けた1ページの4分の1ほどの、ほんの小さな雑誌のインタビューページを監督がご覧になったことがきっかけで、オファーをいただくことができました。その後、昼ドラに出演し、それを見たNHKのプロデューサーが朝ドラに呼んだくださって、さらに、それを見たプロデューサーがTBS「GoodLuck!」に呼んでくださったーーという感じで、ご縁が繋がって行きました。きっかけはほんの小さなことでも、一生懸命やっていれば誰かが見てくれている。また、リピートしてくれる。それが俳優としての必要な心構えだと思います。
工夫は必要ありません。
もし、あなたが誰にも負けない芝居ができれば、それ自体が唯一無二の武器になります。あとは突き詰めていくのみだと思います。

 

 

育成者として感じるやりがい、社会・業界の変化による未来への期待

 

――独立後は育成にも力を入れていますが、その中で感じることはありますか?

俳優を育成することは、とてもやりがいのある仕事です。
弊社でもアクティングクラスはやっておりますし、僕もトレーナーとして参加する事がありますが、どんな方でも確実に芝居はうまくなると思います。そして、その成長を目の当たりにできる喜びはかけがえのないものです。
難しさや大変さを感じるのは、やはり芝居の成長に障害を感じている俳優に出会った時です。
こちらはメソッドを伝える事ができますが、それ以上はなかなか伝えられない。本人に気づいてもらうしかないんです。なるべく寄り添いながらその障害を取り除けるようにサポートしますが、結局は本人にしか分からない部分も多く、こちらの力不足を感じたまま卒業していくレッスン生もいます。
正直、それは悔しいですね。

 

――若手の頃と比べ、業界の変化や課題をどのように感じていますか?

今年で俳優25周年になりますが、25年前と今では世の中の環境は変わりましたよね。
当時はオーディションを受けて、小さい役を掴んで、地道にアルバイトをしながら、大きい役を掴んでいくというルートしかありませんでしたが、今やインターネットの発達により、YouTubeやSNSであったり、知名度を高める方法はいくらでもある。しかも、それらを利用して生活費を捻出することも可能になりました。つまり、自分が活躍できる主戦場が増えたのです。
今、若手との会話で、自分が好きだったテレビドラマの話は通じないことが多いんですよね。それはやはり、新しいコンテンツが次々と出てきて、分散化されているからだと思います。一方で、それは俳優にとってチャンスです。限られたプラットフォームで活躍しなくても、その分散化の波に乗ることはできますよね。
俳優が活躍できる場所は増えました。自らの力で知名度を高めることができれば、映画やドラマに出演するチャンスは広がります。もちろん、その土台となるお芝居の技術は欠かせませんが。

 

――CAST+というマッチングプラットフォームは、俳優や業界にどんな可能性を広げると思いますか?

プラットフォームの分散により、俳優のキャスティングはこれまで以上に重視されるようになりました。キャリアや容姿、国籍といった要素は役を演じるうえで重要なステータスです。そうした情報をCAST+に集約できれば、キャスティング担当者の負担は大きく減ると思います。
俳優にとっても、活躍したいプラットフォームの情報がCAST+に集約されることで、新人でもステータスがキャスティング要項にはまればチャンスを広げていくことができます。
それに、担当のマネージャーさんが1人で動いても情報を取ってくる量には限界がありますし、マネージャーさんが担当するタレントの人数も限界がありますよね。しかし、CAST+は、そういった限界を超える無限の可能性を秘めていて、業務上の負担も減らす事ができるのではないかと思います。

 

 

次世代へのエール

 

――今後のエンタメの展望と、若手俳優へのメッセージをお願いします。

配信サービスを通じて日本の作品が世界で話題になることが増えました。20年前から「グローバル化の波が来る」と言われていましたが、ようやく現実になったと感じています。これからもその流れは加速していくでしょう。
先人から受け継いだ日本のエンタメの素晴らしさを、もっと多くの世界の人に届けたい。そしてこれからエンタメ業界に入ってくる若手の皆さんにも、チャンスをつかめる環境を広げていけたら、業界の発展にもつながると思います。
これは人任せにできることではないので、一人ひとりが自分の働く環境を良くする意味でも考え続けなければならないのかもしれませんね。